一ヶ月の発酵期間を経たもろみは、しぼりの工程を経てお酒へと変身します。
 完成したもろみを清酒にする工程がしぼりです。
 吟醸・大吟醸と呼ばれる品質の高い酒は、木綿の袋にもろみを入れ、それを「フネ」と呼ばれるしぼり機にかけて清酒を作る方法と、もろみを入れた袋を吊るし、自然に染み出してくるのを待ってしぼる方法がとられます。
 後者の方法は通称「首吊り」と呼ばれる方法ですが、「フネしぼり」の方法にくらべ格段に手間隙がかかるため、余程の酒で無い限りこの方法をとることはなくなりましたが、負荷をかけずに絞りを行なうため、出来上がった酒の味、香りともに絶品の酒になります。
 「フネしぼり」というのは江戸時代の「日本山海名産図絵」(右図参照)に見られるように、木綿袋にもろみを入れ、それを大きな石を吊るしたてこで力をかけてしぼる方法であり、長い間この方法が一般的に用いられてきました。
 しかし、最近では絞りの工程の機械化が進み、連続して絞りを行なえる機械によってしぼるのが一般的です。
 麹をつけた米を何度も何度もほぐし、室の温度を常に管理します。麹蓋(麹を入れた入れ物)の位置を、何度となく入れ替えたり、動かしたりと、「菌と人間とのせめぎ合い」が、この「室仕事」で繰り広げられます。
 絞られた酒はその後静置されます。

袋しぼり(首つり)

日本山海名産図会より

現在の「フネしぼり」の様子

 濾過の工程は文字通り「酒を濾(こ)す」工程です。
 酒をしぼった後、酒には「澱(おり)」と呼ばれるものが発生するため、それを濾し取り、雑味の無い変質のしにくい酒に していきます。
 現在は濾過機などを使い酒を濾しますが、昔は木綿の袋を使って酒を濾していたようです。
 火入れとは、濾してにごりのなくなった酒の品質を保つために、一度火を通して酒の中の菌類を殺してしまう作業を言います。
 酒というのは、酸性度が低く、糖分もあり、加えて菌が発生しやすい環境にあります。

日本山海名産図会より
濾過の図
 酒のみに発生する「火落ち菌」という一種の乳酸菌が発生すると最後、その酒は臭くて酸味のある「とても酒とは言えないもの」となってしまいます。
  その火落ち菌の発生を抑え、なお且つある程度の長期保存に対応させるため、この火入れの工程は避けては通れません。
  最近では、保存技術の発達に伴い、火入れを行なっていない「生酒」も流通するようになりましたが、大部分の酒はこの工程を経た後に熟成され出荷されています。
 「火入れ」そのものは「パスツール」が開発した「低温殺菌法」とほぼ同じで、酒を55℃に温めることで殺菌を行ないます。
 「パスツール」が世に知らしめた「低温殺菌法」は、1865年に発表されたのですが、日本の酒造りにおいてはその300年以上前から実用に供されていた事となり、日本の醸造技術の高さを知る事ができます。

 濾過の工程を経れば、酒造りはほぼ完了です。
 しかし、しぼりたての酒は味が直線的であり、まろやかさに欠ける場合が多くあります。
 そのため、熟成という工程が設けられています。
 熟成とは、ワインやウィスキーなどのように、酒を寝かすということですが、日本酒の場合はそれら洋酒のように長い期間熟成させることはありません。
 当然、温度管理のしっかりした蔵で、しばらく寝かしますが、出荷の前にしばらく寝かすことによって、味がまろやかになり、口当たりのやわらかい酒となるのです。
 こうして熟成された酒は、一本一本瓶詰めされてお客様の所へと届けられます。
 私たち富士錦酒造では、これらの酒造りを大切にし、なお且つ新しい機械を導入する事により、常に安定した味のお酒を供給していきます。また新しい味の酒、お客様のご要望に沿える酒造りにも努力してまいります。
 富士の銘水に恵まれ、温暖で過ごしやすい気候風土に恵まれた芝川(柚野)の地にある「富士錦酒造」の酒をぜひ一度皆様にお試しいただきたく思います。
 
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