精米・洗米・蒸しの工程が終わったお米は、糀をつけられ室仕事などの
次の工程に移り、お酒へと熟成されていきます。
 酒造りの作業の中で、おろそかにできる作業は何一つありません。
 しかし、そんな作業の中でも一番気を使う重要な作業は、「糀室」の中で行なわれる作業ではないかと思われます。
 糀室の中で行なわれる作業は、「糀カビ」を蒸した米に付着させ、それを育成させることが主たる内容です。大別すると下記に記した作業内容となります。
 ・「引き込み」とは蒸した米を糀室に入れる作業
 ・「さらし」とは蒸した米を冷ます作業
 ・「種切り」とは糀菌を米につける作業
 それ以降の「床もみ・囲い」などは麹を育成させる作業、 となっていますが、これらの作業は「糀菌(カビ)」を相手にした作業だけに、ちょっとした油断や手抜きすら許されません。
  杜氏にとっては昼夜をとわず神経を研ぎ澄ませた作業の連続になるのです。
 糀をつけた米を何度も何度もほぐし、室の温度を常に管理します。糀蓋(糀を入れた入れ物)の位置を、何度となく入れ替えたり、動かしたりと、「菌と人間とのせめぎ合い」が、この「室仕事」で繰り広げられます。
 十分に糀菌が育成した米は、室から出され外気にさらされます。外気にさらられ糀菌の育成を止めさせられた米は、次の仕込の工程へと移っていきます。

引き込み作業

室内での種切り

切返し作業
まんべんなく米を切り返します

 仕込みと呼ばれる酒造りの工程は、大まかに「酒母仕込み」と「三段仕込み」(もろみ造り)の二つに分けられます。 
 「酒母仕込み」というのは、読んで字のごとく酒の元を造る工程で、「もと麹」と「水」・「掛米」(精米して蒸しただけの米)それに酒の味を決める「酵母」を混ぜて造られています。
 「味を決める酵母」は、富士錦酒造の場合「静岡酵母」と呼ばれるものを使っており、この酵母はまろやかな口当たりと、上品な甘さが特徴です。
 酒母造りは「酒の母」を造ることであり、アルコールを生成する酵母菌を純粋に増殖させる仕込みの基礎になります。 酵母が望む環境をいかに人間が作り出すかで、酒の味が決まるので、仕込みの中でも重要な工程です。
 種母の仕込みが完了したら、次はもろみ造りとなります。
 もろみ造りは一般に「三段仕込み」と呼ばれ、酒母の中に「麹」「水」「掛米」を3回の工程に分けて、増量しながら酒造りを行います。
 タンクの中では、米のでんぷんを麹が糖に分解し、その糖を酵母がアルコールに分解するという複雑な経過をたどっています。3回目の仕込を終えた時点で、もろみが完了します。
 もろみは約1ヶ月かけて熟成され、米と水の混合物からお酒へと変身していきます。
  そのもろみをいつ絞るか、いつアルコールを添加するかについては、杜氏の経験とサンプルによる検査によって決められます。
 お酒を絞るのにいつが最適なのか・・・ この判断を誤ると、せっかくのお酒の味が台無しになります。
  杜氏にとって、お酒を絞るタイミングを計るのはとても神経を使うことです。
 よく、「何でお酒にアルコールを加えるの?」って聞かれますが、アルコールを添加することにより、酒の味をまろやかにしたり、質の変化を抑えたりする技術のことで、お酒を増やすことでは決してありません。

酒母の仕込み
仕込みたての酒母をかき回す

仕込んだもろみを櫂でかき回す

熟成中のもろみ

落ち着いた状態のもろみ

 
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