蔵元便り 柚野の里から

2000年10月

酉の月・酒の月

皆さんご存知ですか?10月1日は日本酒の日です。
十二支でいう酉の月にあたる10月ですが、酉はもともと壺の形を表す象形文字だそうです。
壺とはもちろん酒を入れる道具、すなわち酒壺のこと。だから10月は壺の月、酒壺の月というわけで、酉の月である今月は酒の月になるわけで、なんとも魅力的な暦ではありませんか。

また、古代中国では、一年の始まりは冬至だったといわれており、この季節は新穀が収穫されて新酒が醸さられる月でもあるわけで、10月は酒造りには縁のある月だともいえます。

日本でも明治年間に制定された酒税法で、10月から翌年9月までが酒造年間と定められ、10月1日を「酒造元旦」と呼ぶ風習が酒造家の間には残っているのですから、 今月を酉の月ではなく酒の月と呼び変えてしまってもおかしくなさそうです。

そんな酒作りに縁深い10月の始まりである10月1日の日本酒の日に、静岡県では毎年県内30蔵全ての蔵元が一同に会して、地酒祭りを開催しています。同時に、全国きき酒選手権大会・静岡県予選も行われ、日本酒を囲んでとても白熱した一日となります。

静岡県はこのような地酒を楽しんで頂こうという活動が意外や意外活発な県です。
このイベントは、静岡県の全ての蔵の酒が一度に味わえしかも各蔵元全員に会える数少ないチャンスです。あなたの好きな地酒がどんな(顔の?)蔵元がどんな思いで造っているのか興味はありませんか?しかも、蔵元は酒と同様非常に個性的な人も多く、人物的な魅力と酒の魅力を同時に味わえるそんな味わいもあるのです。

あいにく、今年はもうこの「柚野の里から」の発行の日が10月1日なので、これからこの「地酒祭り」にお出でいただくことは出来ないのですが、来年の同じ日に、出来るだけ多くのお酒愛好家の皆さんとお会いしたく思っています。来年の10月1日「地酒祭り」でお待ちしております。

さて、折りしも季節は秋ですね。加えて酒の月。一夏涼しい冷蔵倉庫で夏を越した酒が、芳醇な味と香りと共に目覚めるときです。日本酒のおいしい季節がやってきました・・・。