蔵元便り 柚野の里から

2017年11月

笑顔の新酒

銀杏の黄色い葉が里の山々に彩りを添え、一気に冬将軍がやってきました。 そんな夕方、日暮れに急かされながら家路へと急いでいると、「こんな日はよくワンタンを作ってくれたなあ」と、母の手料理を思い出しました。 傘寿を迎えた母は、お陰様で今日も笑顔で朝一番の台所に立ちます。 暮れかけの薄暮と、白々と冷たく染まる夜の気配を感じさせる夕方は、そんな母の手作りの白菜をいれたワンタンスープが思い出されます。

舌が覚えている味の記憶というのは、味そのもの以外にも、匂いや季節そして嬉しかったり悲しかったりという気持ちだったり、随分いろいろなことがあります。


蔵人が入蔵して一ケ月。今年の蔵人達、日本酒をこよなく愛するメンバー達です。蔵の中は、活気に溢れる声が響き、几帳面に整理整頓されている蔵の中は、掃除が行き届き、気持ちよい空気が流れてます。また、夕食は皆で富士錦を飲みかわし、豪快にリラックスしています。笑顔がほぐれて、一日の疲れをとり、笑い声が絶えない食事風景です。
そんな彼らが醸した今年の初しぼり「しぼりたて原酒」が、昨日発売されましたが、 「うまい」です。毎年米の出来具合は違うので、その年の傾向をつかむまで、 常に五感を働かせる彼らですが、 日本酒の魅力あふれる「しぼりたて原酒」を醸し出しました。
今週から年末まで、馥郁とした旬の新酒が次々としぼりだされます。 是非、ご一緒に笑顔溢れる富士錦の酒を楽しみましょう。