蔵元便り 柚野の里から

2018年01月

最強寒波

「最強寒波来襲」で、首都圏では不要不急のお出かけは控えてくださいと、国土交通省が呼びかけるビックリするような寒さです。
柚野の里でも、マイナス五度の夜明けから、日中も気温は上がらずおまけに風も強いので、体感温度は冷えたままの一週間を過ごしています。
久しぶりに物干しに下がるタオルに小さなつららを見つけました。蔵の干場の洗い物も干すとすぐ、凍っています。

そんな中、冷たい寒気を味方につけ、富士錦では今年の酒造りも、折り返し地点を迎えようとしています。
仕込み蔵に入ると、そこはほんのり暖かく肩の力がスッと抜け心がホッとします。タンクの中で息づくもろみは、フツフツと息づいていますが、今年はそのタンクの下に温かい行火(あんか)を入れ毛布で囲い、少し暖めながら、その息づかいをコントロールしています。そんなもろみを見ていると、本当に生きている息吹が伝わってきます。

先週みえた蔵見学のお客様も、初めてご覧になるもろみに、「あぁ、生きているんですね。」と、心動かされていました。フツフツと話しかけるように、発酵を重ねるもろみは、仕事の辛さをしらずしらず癒してくれるのかもしれません。そして、そこに寄り添うように醸す蔵人達の仕事ぶりは、今年も気持ちが良いほど酒への想いで溢れています。


こんな大寒の季節は、酒造りにもっとも適している季節です。
1月27日に発売しました、「大寒仕込みしぼりたて原酒黒ラベル」は、寒造りの酒のすっきりと一本筋の通った辛さと呑み飽きしないキレのよさを瓶に詰めました。どうぞこの機会に、お試しください。