蔵元便り 柚野の里から

2001年08月

夏・13度

ひまわりがひときわ映える、まさに炎天の夏真っ盛りです。
その隣ではもう稲穂が頭を覗かせ、今年の夏の日照時間の長さ強さを思い知らされます。
夏になると富士錦酒造の構内にある水道の蛇口は、冷えたやかんに水滴がつくようにしずくがしたたり、ひとたび蛇口をひねれば、1分として手をつけていられない冷たさの「富士山の湧き水」が勢い良く流れ出してきます。
夏13度・冬12度とほぼ一定している水温は、どんなに暑い夏が来ても 変わることがありません。
ここ最近、都市で生活する方が当蔵を訪れた際、必ず遠慮がちにおっしゃるひとことがあります。
「お水をちょうだいできますか・・・?」
たまには容器持参の方もいらっしゃいます。特にこの夏場、コップ一杯の冷たい水は、おいしさも一際のご様子です。
「ああ、この水で造っているんですね・・・」と、それだけで納得という表情です。
水道水とも市販のミネラル水とも違う、何の加工もしていない天然の湧き水は、無味無臭でありながらも味がある不思議な飲み物です。
柚野の里に暮らしあたりまえのように富士山の湧き水で顔を洗い、水不足の心配も無くアスファルトの照り返しを避けるために水をまく・・・これは、やはり自然の豊かな生命力の中にあるからだと、改めて富士山を仰ぎ見るのでした。
そして、この豊かさをおいしい日本酒にして届けることが、富士錦の使命だと考えております。

どこにも負けない上質の水を用い、手塩にかけて醸し、ゆっくりと冷蔵庫で熟成させた富士錦の酒。ゆったりとした時間に浸りたいとき、ぜひどうぞお召し上がりください。
そうそう・・・富士錦においでの際は、水を入れる容器をお忘れにならないように・・・