蔵元便り 柚野の里から

2002年08月

水分補給

 久方ぶりの夏空と真夏の太陽にさらされて、体中の水分が抜け出してしまったような夕方、タイムカードの横に「穫れたてのきゅうりですどうぞ」と書かれたメモ用紙とともに、きゅうりが蓑に一山置かれていました。
夕方の暑気払いにと、一口かじれば、まだにがみのさえ残る夏の味が口いっぱいに広がりました。 これが柚野の里の水分補給です。
今、世界の中で、日本は地盤沈下が進み、国債を始めとして「格付け」が下がってきています。
国内では、不況と改革の深刻な叫びがこだましています。 けれども、本当にそうなのでしょうか。技術立国の日本がそんなに簡単に崩れ去ってしまっているのでしょうか?
たとえば自動車。今年末、国内の自動車業界では「燃料電池自動車」が高速性も航続距離の問題もクリアーし、いよいよ市場に登場してくるといいます。
そんな「燃料電池自動車」が従来の「ガソリン自動車」から置き換わっていこうとするにあたっての主要技術は、日本が世界をリードしてきた得意分野ばかり。
世界で走る自動車の環境を一変させるのは、日本メーカーであるという予感は十分です。
そして、例えば日本酒。
日本酒は世界の酒の中でも最高レベルの技術を誇る「糖化」と「発酵」の複式発酵を重ねる、微妙で繊細なお酒です。
大吟醸クラスの日本酒を欧米へ持参すれば、三ツ星レストランのソムリエも、「この酒がワインなら、ワインリストの最高位にランクされるだろう」と評し、また、米という「糖分」の少ない原料で、これほどまでの香りと味を醸す日本酒造りの技術に下を巻くとある蔵元はおっしゃるのです。
「世界に誇る技術は、日本から、まだまだいくらでも掘り起こせる・・・」そんな気がしませんか?

その英知は、何も大企業だけでなく地方の小さな地酒屋にさえもある、これは、厳然とした事実です。
そんな思いをのせて、今月新発売した大吟醸500ml をぜひ飲んでみてください。
届いたお酒の封を開け「プロジェクトX」を見ながら一杯。
もしかしたら「あなた自身に眠る世界に誇れる技術」が見つかるかもしれません・・・。