蔵元便り 柚野の里から

2002年10月

秋のとば口

 急に日暮れが早くなり、カーディガンを羽織る季節となりました。厳しかった残暑は、収穫の秋へと姿を変え、今朝は白く薄化粧をした富士山が、秋雨の向こうに霞んで見えています。
毎年9月は、さまざまな団体が主催する日本酒をPRするイベントが盛んな月です。
毎年の事ながら、いつも驚かされるのは、どの「日本酒を楽しむ会」でも非常に人気が高いことです。
チケットも即日完売で、当日の会場も活気溢れる会である事が多く、加えて女性の姿や「来年もまた来るからね。」とおっしゃる「リピーター」が多いのが「日本酒を楽しむ会」の特徴です。
先日、地酒蔵元を百蔵一同に集めた会に出席してきました。
この会でも、まずビックリしたのは開場の午前十時から午後七時の閉会まで、途絶えることのない人・人・人の波・・・。(おいしい日本酒に目がない人ってこんなに居るんだ・・・)
そして、有名無名を問わず、「真摯に酒造りに取り組む蔵元を集めた会」ということで、出店する蔵元の気合を上回る来場者の好奇心は、蔵元の想像をはるかに越える旺盛さでした。
利き酒をし、舌で確かめ、「酵母は協会9号系だね・・・米はどこの・・・?」などと質問していく姿には正直言って「脱帽!」 緊張感のある楽しい会でした。
うれしかったのは、各蔵元をグルッと回ってきたお客様が、最後に富士錦に戻って「やっぱりここだ。」ともう一度舌で味を確かめるお客様の姿でした。
自然と「ありがとうございます。」の一言が溢れ出しました。

「日本酒のおいしさを皆様に・・・」
富士錦が常に考えていることです。
9月に発売した純米吟醸酒「初呑切」は、秋口の涼しさがますこの時期にまさにぴったりの「熟成酒」です。
じっくりと煮込んだおでんにカラシを付けて、ぬる燗の「初呑切」を飲んでみてください。
ピタピタっと来るこの食べ合わせは、まさに絶品です。