蔵元便り 柚野の里から

2004年04月

盆と正月が一緒に来た!!

菜の花が蔵の裏の田んぼを黄色く染め、大きな桃の木とその隣の白木蓮がアクセントとなり、花開く明るい春の訪れとなりました。
今年の春は、富士錦にとって格別の喜びに沸く季節となりました。
まず、3月12日に行われた、「静岡県清酒鑑評会」にて、純米の部で最高賞の「静岡県知事賞」を、そして、吟醸の部でも知事賞に次ぐ「会長賞」を受賞しました。

その一方を受けた専務の顔は見る見る上気し、「マジですか!?」といつもは冷静な専務からは到底発せられない、いまどきの反応・・・
驚き皆が振り向くと「県知事賞受賞!」の大きな声が響き、皆の歓声が上がったひとコマでした。
蔵始まって以来の快挙に、この日を境に 畑福杜氏をはじめ皆の表情も和らぎ、蔵全体が「ポッ」と明るくなりました。
良かった・・・本当に嬉しいです。
毎年4月、故郷岩手に帰省する杜氏の表情はいつも悔しげで、鑑評会にて結果を出せない事に、誇り高き職人として悩んできました。
愚直ともいえる真面目さで、富士山の湧き水と向き合い、とうとう「富士錦の仕込み水」を使いこなした畑福杜氏、9年目の春でした。 これからがますます楽しみです。
そして、この吉報を受け3月14日に開催された「第8回蔵開き」も快晴。(悪天候で有名だった蔵開きもこれで4勝4敗)
お天気も後押しし、当日は予想以上のおよそ1万5千人の方が朝早くから柚野の里に足を運んでくれました。 本当にありがとうございました。
心地よい春の日に田んぼで飲む「富士錦」 開放感溢れる場所で、そこにいるみ~んなが知り合いになって楽しく盛り上がっている様子は、そこに身を置くだけでもなんだか嬉しくなってしまう風景でした。
しかし、駐車場、酒売り場では多くの方にご迷惑をお掛けし、申し訳ありませんでした。 これは来年の課題とさせていただきます。

後日、当日の写真を現像すると、お客様皆様の笑顔が多いこと・・・。 蔵元として何よりの幸せです。
県知事賞、蔵開きの活況と、富士錦の歴史を刻んだ今年の3月。 蔵元いわく「盆と正月が一緒に来た・・・」
この喜びを胸に、また酒造りに心血を注いでまいります。