蔵元便り 柚野の里から

2004年06月

武者震い

 毎週ごとに降る雨を見上げながら、煙るような柚野の里の山々がいつになく深い緑色に見えます。
「いってきます!」と広島へと向かう富士錦酒造製造部の面々は、嬉しさと誇らしさを隠しきれない、いい表情でした。
5月21日午前10時、酒類総合研究所のホームページに公開された全国新酒鑑評会の入賞酒一覧で「富士錦」の名を見つけ、そして最高賞の金賞受賞を知ったときの嬉しさは、何にも代えがたい名誉でこらえきれないものを感じました。

この、全国新酒鑑評会は、現在、全国規模で開催される唯一の清酒鑑評会です。
5月27日に酒類総合研究所のある東広島市で開催された公開きき酒会に足を運ぶと、会場前から並ぶ人の多さとその関心の高さに、思わず武者震い。
一日で約三千人もの酒類関係者をこの会場に集める全国新酒鑑評会は、やはり日本酒業界の天王山なのでしょう。1049点の出品酒のひとつとなる富士錦の酒は、一体どんな印象なのか・・・
いつもの蔵内のきき酒とはまったく異なる緊張感で臨みます。
「やっぱりうまかったよ・・・」というのが、開口一番の専務の感想でした。
その「ホッ」とした様子に、品質に間違いがなかったという安心感が出ていました。 そして、「造りのポイント事のすべてにピントがパシッとあった酒造りをしてくれた杜氏さんに感謝だよ」 という社長の言葉がすべてを表していました。
会場で次々に会う造り酒屋仲間や種類関係者の方々に、肩をたたかれ、「いい酒、造ったねぇ」と激励され、酒を造った製造部と一緒に喜んだ一日・・・
受賞の喜びはあとからじわじわと湧き出るように生まれてきました。

会場で味わった身が引き締まるような緊張感は、これからの富士錦の血となり肉となって、今後の酒造りの大きな糧となることは間違いありません。
遠く広島のきき酒会でもいち早く空になった富士錦の酒。これまでの皆様の応援に厚く感謝し、これからの造りに思いをはせるアツイ一日でした。