蔵元便り 柚野の里から

2007年04月

優しい味わい

今年初めての雪は、なんと「蔵開き」の前日前夜。どうやら準備が終わり、夜、当日用の買い物へ出かけると、ヘッドライトが白く煙り、粉雪が舞い乱れ冷え込む外気が伝わってきました。明日の蔵開きは、雪合戦かなと笑いながら、テントを張った会場が強風に煽られないようにと、願いました。
そして、翌日の蔵開き当日は、快晴。うっすらと紅がさす朝焼けに染まった富士山が裾野まで雪を重ねて本当にキレイでした。

このお天気に後押しされて、今年も大勢の皆様に、朝早くから柚野の里に足を運んでいただきました。本当にありがとうございました。
皆様の朗らかな笑顔にお会いすることが出来、開放感溢れる田んぼで飲んでいただく様子は、そこに身を置くだけで嬉しくなってしまいました。
また、好評だったのが仕込み水を飲んでいただく企画でした。今年初めて酒蔵の入り口に、“仕込み水はこちら”と樽に水を流し、
富士山の湧き水のおいしさを味わって頂きました。そのやさしい味わいに、びっくりされた方もたくさんいらっしゃいました。
そして、この富士山の湧き水に愚直な程、真面目に向き合い、9年の年月をかけて「富士錦の仕込み水」を使いこなした畑福杜氏の醸した酒が、
今年の静岡県清酒鑑評会・吟醸の部にて静岡県知事賞の栄誉を獲得する事が出来ました。
初めて純米部門でトップを頂いたのが平成16年、畑福杜氏が富士錦に入蔵してから9年の年月が経っていました。
 この年を皮切りに翌年平成17年も純米部門でトップ、そして、「いつか、吟醸部門で県知事賞を獲りたい。」と願い、今年おかげさまでその目標を達成することが出来ました。
欲しいと思って取れる賞ではない事を、身をもって知っている専務と杜氏が、がっちりと握手した手が、震えていました。
応援いただいた皆様、本当にありがとうございました。
笑顔の春を迎え、もうすぐ、酒造りも無事終了です。