蔵元便り 柚野の里から

2010年09月

日の丸

小・中学校では今年は早々に二学期が始まり、我が家も最後の関門をくぐり抜け、ホッと新学期。近年は、中学生も自由研究の課題があり、世界の国旗を調べる事にした子供が集めた国旗に関する本を、この夏私も数冊読んでみました。
読んでみると、これが非常に奥が深くて世界が少し身近になったように感じたので、ご存知の人も多いと思いますが、少しご紹介します。世界の国旗は、色とマークで表されていますが、色に実に色々な意味合いをつけています。
特に、多くの国で使われている赤と白は、国によって全く意味合いが違っていたりして、それはそのままその国の歴史と文化なのだと納得しました。例えば赤は、その色から少なからず多くの国で独立闘争で流された血と犠牲の象徴としているが、自由や勇気・情熱・豊富な資源を表している国もあり、民族の誇りは様々なことがわかります。
わが国日本の白地に赤の「日の丸」は、ご存じの通り、太陽を描いたもの。聖徳太子が遣隋使に託した文書に自国を「日出る国」としたことに由来し、極東に位置する国であることを示す意図があったとされている、そうだ。


父に言わせると、白地の白は空なのだという。「湿度の多い日本では、空は青よりも白に近い。空が真っ青なのは、乾燥した内陸地なんだよ」と。そう言われ見上げる空は、水色から白のグラデーションに見える。だから、今日はこんなにムシムシしているのか…。
ところで、先日、社内で一夏を越した酒の社内呑切会にて、同じスペックの純米酒の原酒を5点きき酒した。その味わいは、若い酒・軽い酒・キレのいい酒とどれも違いました。
同じ蔵で同じ蔵人が同じ道具を使い、同じ富士山の湧水と米で醸した純米酒でさえ、こんなにも違う。この奥深さ。その中で、現在もっともおいしい酒が運ばれ、来週、今年の「ひやおろし純米酒」に詰め口されます。


世界の中の日本。日本の中の日本酒。白地に赤の日の丸のように、シンプルで分かり易く堂々とした、日本らしい日本酒をこの富士山の麓で醸し続けていく地酒屋でありたいと願う八月でした。