蔵元便り 柚野の里から

2011年01月

朝焼け

今朝の里は、明け方近くまで降り続いた雨が止み、山並みまでピンクに染めた美しい、朝焼けがすべてを洗い流すかのようで、まさに「荘厳」な光景でした。一瞬、違う国で知らない世界を垣間見ているような、そんなワクワクする一日の始まりでした。

一転ほの暗い蔵に入ると現実に戻ります。が、実は蔵の情景も悪くないと思っています。入り口には、真珠のように真っ白な酒米が洗米され、笊に水切りされて並びます。
きちんと掃除された蔵に幾何学模様のように置かれた真っ白な酒米を見るたびに、私は京都の枯山水の庭を見るような清々しい気持ちになります。日本の伝統的な美しさでしょうか…。丁寧でシンプルな潔さを感じます。
毎年この時期になると、私は蔵の隅っこで酒粕の袋詰め担当となります。子供の頃からしてきた仕事なので、自分の中でも好きな仕事のひとつです。今年はTV番組でいろいろな酒粕健康効果が放送されたお陰で、酒粕が驚く程の反響です。
注文の多さに、まさに必死に袋詰めしています。そのそばで、ホースを伝って、隣の仕込蔵から「もろみ」が酒の搾り機に送られる独特の音がします。それは、まるで人間の心臓の音の様に、どくんどくんと聞こえます。お酒が産まれるまさに産道のような道でしょうか…。
その産道を通る時に「青リンゴのような甘酸っぱい爽やかな薫り」を放つ酒がありました。私も、こんなに強く華やかな香りを感じるのは、初めての事でした。一緒に袋詰めをしていたスタッフ達と、「このお酒絶対飲みたいね。」と、しばし盛り上がりました。是非、皆様にもこのお酒、純米吟醸ヌーヴォーをお勧めします!

佳境に入った酒造りと新酒の出荷に、現在富士錦では社員一丸となって、一年で最も忙しい毎日を過ごしています。荘厳な朝焼けが全てを洗い流すかのように、新しい年が皆様の希望の年となりますよう、心より願っております。
本年のご愛顧、心より感謝申し上げますと共に、どうぞ、幸多き新年をお迎え下さいませ。ありがとうございました。