蔵元便り 柚野の里から

2011年10月

台風15号

芝川から聞こえるゴーゴーと流れる聞き慣れぬ猛烈な濁流の音に、浅い眠りのまま迎えた朝は、台風一過の青い空。まるで、なにも無かったかのようです。


庭や道路に散乱した枝葉や藁は、台風15号の激しい風雨を物語り、地面を川となし流れを造って、低いところへグングン浸水していった様がよく分かります。その後片づけをしていると、まだ青い柚子の実が、竹箒にはかれてコロコロと転がっていく。
上を見上げると、柚子の木の枝に頑張って残った柚子の実も少し。それでも、全体の三分の一程度…。周りの庭木も、昨日の風雨にげっそりとしているのが、よくわかる。倒木が無かったのが幸いだった。思わず、「お疲れ様、よく頑張った。」と声に出ました。

最大級の警戒をと叫ばれた、台風15号。みなさまの町は、大丈夫だったでしょうか?みなさまのご無事を心よりお祈り申し上げます。ここ柚野の里でも、午後2時前後から5時すぎまで、恐ろしい程の集中豪雨でした。
ただならぬ雨量に、蔵の石垣沿いを流れる川幅80センチの川も、みるみる内に増水し溢れ出したのには、本当に肝を冷やしました。想定外の事態に、急遽、スタッフ全員で土嚢を積み、ご近所に声をかけ、水の流れを止めようと必死でした。強まる雨足と共に、グングンと増える水量。勢いのついた水の怖さを実感しました。
ご近所もあり、弊社にとっては、酒を造る蔵の入り口の出来事に、近所の年配者の助言で、消防署に連絡を取ったところ、すぐ駆けつけてくださいました。

署員や里の皆様の適切な状況判断により、川の本流である用水路のせきを止めることで水位を下げていただき、溢れた水は収まりました。溢れる間は、ポンプ車で水を逃がしていただき、そのお陰で、ご近所も蔵も大事に至らず、今日があります。正確な判断に心より感謝申し上げます。
今年は、富士錦でも、自然の猛威を体感する忘れられぬ年となりました。このお彼岸は、おはぎをつくりお供えして、墓参りをしました。
日々の日常を、大事に過ごす大切さを実感しています。そして、みなさまの変わりない一日をお過ごしいただけることを、心よりお祈り申し上げます。