蔵元便り 柚野の里から

2012年01月

想いと酒にのせ

クリスマス寒波が日本列島を覆い、本格的な寒さがやってきました。寒いですね、いかがお過ごしでしょうか?

今年もあとわずかとなり、一年の中で造り酒屋が最も忙しい時期を迎えました。お陰様で、今も事務所の外から聞こえてくるスタッフ達の声は明るく、次々とお酒を積み込む姿は、活気に満ち溢れた年末の風情を漂わせています。
振り返れば、今年は、自然の猛威に対し人は無力であると、改めて感じさせられた一年でした。三月の地震・六月の落雷・九月の台風被害…。様々な天災に一人で立ち向かうことは困難でも、みんなの力を合わせれば乗り越えられる事を確信した、大切な一年でもありました。

それと同時に、自然界に存在している微生物と共存しながら醸造している我々の仕事のありがたさ、そして自然の恵みを原料として醸し出され、人に潤いを与える日本酒の不思議さを感じずにはいられません。

心を痛めた人達が、心休める席で是非役立って欲しいお酒。そんな思いを胸に、今年の新酒は醸しました。そして、富士錦スタッフ皆が、それぞれの持ち場でいつもより少し強くその想いを酒に乗せ、皆様にお届けしています。

いつもとは少し違った気持ちで、この年末年始を迎える人も多いと思います。久しぶりにお世話になったあの方に会ってみたいなと思った時、家族やお仲間もと心通わすとき、それから懐かしい顔が揃った席などに、お使いいただければ幸いです。

今年一年、たくさんのご愛顧を賜り誠にありがとうございました。富士錦の醸す酒が、皆様にあたたかい時間を運ぶことを、スタッフ一同心より祈っております。
どうぞ、良いお年をお迎えください。