蔵元便り 柚野の里から

2012年12月

魂を込めて

十一月に入り、富士山ではひと雨ごとに降り積もる白い雪が多くなり、ここ柚野の里には、全国から多くのカメラマンが集り始めました。情緒溢れる素朴なこの里の風景や暮らしのひとこまと刻々と表情を変える富士山の冬の美しさはまた格別です。ベストショットをおさめた一枚に、どこかでお目にかかるのを楽しみにしています。

その一方で、蔵では新酒の仕込みが本番を迎え、続々と新米が蔵に運び込まれてきます。静岡県・兵庫県・滋賀県と米の種類によって全国から入荷する米の性質を「今年の米の出来はどうだろう?」と目を凝らし、造りの方針を決めていきます。
毎年米の出来は違うので、緊張感溢れる毎日を過ごしています。最近は外気も冷え込んできましたが、気温が冬型に落ち着くと、酒造りも安定してきます。だから、富士錦では、寒さも大歓迎です。
そんな中、嬉しい知らせが転がり込んできました。東海四県で行われる名古屋国税局主催の酒類鑑評会がこのほど行われ、今年も純米酒で優等賞をいただきました。

名古屋で行われたその表彰式で、首席のみが指名される表彰状を受賞者代表で受け取る役を指名され、ありがたく拝受してきました。この栄誉は、平成十六年以来二度目の経験でした。

審査の対象となった市販酒で、このような名誉ある賞をいただくのは、仕込みを行う蔵人だけでなく、貯蔵・瓶詰め・出荷・配送を担当する各スタッフが、その一本一本に魂を込めて、大切にお届けする思いが間違っていない事を客観的に評価していただけたものと、一同大変喜んでいます。

明日もまた、いつもと同じ仕事が、寒い朝早くから待ち構えています。そして我々が心を込めて造るお酒を心待ちにしてくれている人たちに、
間もなく新酒がお届けできます。どうぞ楽しみにしていてください。
今年の「しぼりたて原酒」の初出荷は、12月1日です。