蔵元便り 柚野の里から

2013年09月

雷光

珍しく降った夕立のおかげで、ひと夏ずっと続いた蒸し暑さからひととき逃れ、ホッとした夕方。一日の終わりに久しぶりに安らかな気持ちで過ごせる恵みの雨を母と見上げれば、遠くの雲の中で黄色く光る雷光が、まるで空の電飾のようにピカピカ光っている。
音のない雷光は現実味もなく見物気分で見ていたら、少しすると起きた一瞬の停電に、たちまち、雨の中の復旧作業と変わり、慌しいいつもの日暮れになっていった。

そんな一日の終わりに飲む一杯のおいしさは、まさに五臓六腑にしみわたる、そんなおいしさだ。久しぶりに聞く雨音が耳に心地よく、クラッシュアイスを満杯にいれたグラスにしぼりたて原酒を注ぎ、少し気分を変えてレモンを浮かべてみた。
氷が涼しげでいつもとは一味違うおいしさに、べったりとした真夏の空気を爽やかな味わいが吹き飛ばしてくれた。
大変な努力や競争を強いられる社会生活で は、次々と壁が立ち塞がってくる。乗り切った先に次の壁がまた控えている。乗り切った先に人生があるのではなく、乗り切ることこそが人生なのかもしれない。
学生には学生の苦しみがあり、40代には40代の試練がある。社員には社員のつらさがあり、社長には社長の苦闘がある。

人は、居心地の良い場所で杯を重ね、共に笑い共に泣き、浮世を忘れる時間があれば、それが人生の至福の時なのかもしれない…。
猛暑の夏を、涼しい蔵内で過ごした純米ひやおろしの酒が、もうすく瓶に詰められます。今年も、最高の状態で夏を過ごし、コクがある味わい深い上質の酒をお届けできることに、深い喜びを感じています。
皆様に至福の時間を過ごしていただくよう、精魂込めて造りました。お待たせしました、秋の酒「純米ひやおろし原酒」は、9月5日発売です。どうぞ、お楽しみください。