蔵元便り 柚野の里から

2014年11月

吉報

真っ白な富士の山が朝日に輝いて、早朝の澄み渡る空気の中、振り返ると蔵より上がる一筋の蒸気はほのかな温かさを感じさせ、一際冷え込む早朝に高校へと向かう娘の背中を押してくれるようでした。


その蒸気の下では、今日もお酒を仕込む為の蒸米が古く大きな和釜で蒸しあげられ、数週間後に新酒となって生まれてきます。里の風景に溶け込んだこの冬の風物詩が、早朝から頑張る誰かの心をそっと励ましていればいいなと、ふと心に願った朝でした。

酒造りが始まって1ヶ月、嬉しい吉報が届きました。市販純米酒の品評会「純米酒大賞2014」で、富士錦の「特別純米ほまれ富士」が最高金賞を頂きました。
この品評会は、日本酒と料理を題材にした作品が多い漫画家・高瀬斉さんを会長とする純米酒大賞制定委員会が開催し6回目。
計4部門が設けられ、今回は全国69蔵からエントリーされた出品酒146点が、最高金賞の座を競い合いました。
その中で「最高金賞」に輝いた「特別純米ほまれ富士」は、静岡県の気候に合わせて開発された好適米「誉富士」で醸した酒です。この酒米は十年に及ぶ開発期間をかけ、静岡県を挙げてブランド化を進めています。
ちなみに、純米吟醸・純米酒の部門で最高金賞を獲得した「東一」(佐賀)と鶴齢(新潟)は、酒米の王様「山田錦」で醸した酒で受賞。その中で、静岡県を代表する酒米「ほまれ富士」を使用して受賞出来たことが大変誇らしかったです。

又この酒は、ひと夏自社田で田植えから稲刈りまで自社で行い、その米で醸した一貫造りの特別純米酒です。若手スタッフ達が経験浅い中米作りに試行錯誤しながら収穫した米で醸した酒がこのような栄誉を受け、蔵を挙げて喜びに沸いています。

新酒のラッシュを迎えるこの年末に幸先の良い吉報が届き、今年の酒造りも心新たに熱意ある酒造りに打ち込みます。どうぞ、富士錦の心意気をお楽しみください。