蔵元便り 柚野の里から

2016年08月

雄町(おまち)という酒米

 柚野の里は、今、一面黄金色に色づき、真夏の太陽に照らされながら収穫の季節を迎えています。 そこここから聞こえてくるコンバインの音、乾いた藁の匂い、こののどかで豊かな実りの情景は、心満たされる「日本の原風景」そのものです。
是非、この季節柚野の里にお越しいただき、胸いっぱいに、雄大な実りの秋をご堪能ください。お待ちしています。
ところで、富士錦では今年度初めて「雄町」という酒造好適米で「純米大吟醸」を醸しました。 この酒米は、江戸安政6年に備前国上道群高島町字雄町の農家が発見した酒造好適米で、現在広く普及している酒米「山田錦」や「五百万石」のルーツとなった品種です。
それは、雨が続けば水路の水を調節し、初穂が出れば肥料を施し手を掛ける。 そんな自然の摂理の中にわが身をゆだね、作物を育てている人々のおかげなのだ、と。
そんな気持ちで飲んだ一杯は、日中の暑さを振り払い心にも体にも力を与えてくれる滋味がありました。


通常の稲より背が高く190センチ近くある為栽培が難しいことから一時は生産量が激減し、「幻の米」と呼ばれるようになりました。が、地元酒蔵の根強い要望により生産量が回復し、近年ではその個性ある味わいに、大変注目が集まっている酒米です。
今年7月に開催された「オマチスト」と呼ばれる「雄町」の酒に魅了された全国の人々が集まる「第八回雄町サミット」に、 初めての出品ながら優等賞を受賞し、発売前から注目を集める酒となりました。 雄町独特のコクとふくらみのある芳醇な味わいを醸せたと、心強くしています。発売は、10月中旬を予定しています。
そして、来月5日は秋の代名詞「純米原酒ひやおろし」が発売されます。 今年は、特に粒ぞろいの純米酒揃いましたが、今年は香りが華やかなタイプを選びました。 秋の訪れを、ひやおろしと共にお楽しみください。ご予約は、お近くの富士錦取扱店まで。