蔵元便り 柚野の里から

2014年05月

海に眠る酒

五月晴れの昼間から一転夕方は夏の様な豪快な雷鳴がピカピカと轟く荒れ模様になったりと、不安定な天気が続きますが、お元気でお過ごしですか?
今月は、冨士錦では、蔵見学が多く元気な関西弁がこだましたり、川崎のおしゃれな理容師さんご一行様がお見えになったり、蔵の中が賑やかです。
昨日は、夕方遠来より見学に見えた大勢のお客様を田植えが終わったばかりの自社田にご案内すると、到着時には見えなかった富士山が雲間に垣間見え、いたく感激され、目を奪われるようにシャッターを切っておられました。

「私、初めて見る富士山なんでね~。嬉しいですわ、やっぱり。」と、目に焼き付けるように立ちつくすお客様達。感激は伝染力があるんですね。
その場が一気に厳かな雰囲気に変わり、まるで富士山頂を登り切ったような尊厳さを醸し出していました。人の心の奥に響く「魅力あるもの」のすごさを改めて感じた一時でした。
冨士錦では、今月15日16日に田植えも済みました。今年は、あいにく小雨模様の肌寒い田植えでしたが、酒米「山田錦」と「誉富士」も例年通り植え付けし、ひと夏その成育を見守ります。
柚野の里で、米作りから酒造りまで、自社で行う一貫造りへの夢の土台作りをしています。


またこのほど、冨士錦では日本一の富士山の麓で醸した冨士錦の酒を、日本一深い駿河湾に沈めた海中熟成酒プロジェクトに全国15蔵の蔵元と共に参加しています。
南伊豆の海底の、水深約20メートル、水温8~12度の安定した海底で半年熟成した日本酒を、来月11日に引き上げます。
「海に眠るお酒を召し上がった事はありますか?」来月には、お披露目できる運びとなりました。どんな味わいのお酒になるか、楽しみです。