蔵元便り 柚野の里から

2016年01月

大寒仕込み

週末にかけて寒波の予報が報じられ、柚野の里もグッと冷え込んできました。
今月は日本列島に「記録的な大寒波」が到来し、全国各地で雪の影響が報じられています。そんな中、いつも通り店を開け酒を造りお届けする日々が送れる温暖な静岡県に住むありがたさはひとしおです。

そんな中、冷たい寒気を味方につけ、富士錦では今年の酒造りも、折り返し地点を迎えようとしています。仕込み蔵に入ると、そこはほんのり暖かく肩の力がスッと抜け心がホッとします。
タンクの中で息づくもろみは、フツフツと息づいていますが、今年はそのタンクの下に温かい行火(あんか)を入れ毛布で囲い、少し暖めながら、その息づかいをコントロールしています。
そんなもろみを見ていると、本当に生きている息吹が伝わってきます。


先週みえた蔵見学のお客様も、初めてご覧になるもろみに、「あぁ、生きているんですね。」と、心動かされていました。フツフツを話しかけるように、発酵を重ねるもろみは、辛さとしらず人を癒してくれるのかもしれません。
そして、そこに寄り添うように醸す蔵人達の仕事ぶりは、今年も気持ちが良いほど酒への想いで溢れています。
こんな大寒の季節は、酒造りにもっとも適している季節です。先週発売しました、「大寒仕込みしぼりたて原酒黒ラベル」は、寒造りの酒のすっきりと一本筋の通った辛さと呑み飽きしないキレのよさを瓶に詰めました。どうぞこの機会に、お試しください。