蔵元便り 柚野の里から

2001年02月

申し分なし

寒いですね、大寒波です。
毎朝、気温はマイナス2~3度、さすがにマイナス7度の朝は震えました。静岡では1月にこんなに冷え込む年も無いですし、雪が積もり事も滅多にないのですが、富士錦の蔵元の周りは何年かぶりに、真っ白い雪化粧に覆われました。
いやはや、去年までの暖かさがうそのようです
しかし、ようやくと気温が下がってきたおかげで、タンクの中であわ立つもろみ(米と水と麹と酵母が混ざり合って発酵している状態)も、元気そのもの。大吟醸をはじめとする、現在仕込んでいる酒のもろみは、もろみ日数が32日を越すフルマラソンのような持久力が必要とされます。
気温が高いと発酵がハイペースになり易く、最後には貧血気味で米が糖化されないなんていう心配事も起こるのです。が、気温が下がることによって、そのペース配分が取りやすく、一気にではなく着実に走ることによって、最後にあの吟醸香を放ってくれる「すばらしい酒」ができるのです。
シドニーオリンピックで金メダルを取った「高橋選手」と「小出監督」の勝負強さと信頼関係は、酒と杜氏の関係にも似ています。
ところで毎年、この時期になると、国税局の鑑定官室から酒の鑑定官の先生が、一蔵一蔵酒の鑑定に来蔵されます。これを巡回指導と呼びます。
富士錦では、先月の末ごろに、この巡回指導がありました。
搾り上がったばかりの 「純米大吟醸」 から 「純米吟醸」、「純米酒」、「普通酒」 まで今期の新酒をすべて並べて指導を仰ぎました。
もろみを見、さまざまな経過を聞き、きき酒をして頂いていろいろな指導を仰ぐのです。  だから、この日は酒蔵にとって、緊張の一日となるのです。
鑑定も終わりに近づき、鑑定官の先生から 「どの酒も申し分なし、非常にレベルの高い酒です。」 との言葉。
45年巡回指導を受けている蔵元も、初めて受ける 「申し分なし」 との評価に、嬉しいより先に驚いたと申しておりました。

たしかに、今年の 「新酒しぼりたて」 と 「ふなくち」 の人気の高さは一際で、さまざまな方面からお褒めの言葉を頂戴しております。それに加えて、先の巡回指導。
確かな手ごたえを感じる 「今年の酒造り」であることは間違いありません。
ぜひとも、富士錦酒造の 「自信を持ってお届けできるお酒」を多くの方に味わっていただきたく感じます。
限定500本のみの販売ですので、電話にてお問合せください。