蔵元便り 柚野の里から

2003年09月

自然の恩恵

低温に見まわれた今年の夏が、あっという間に過ぎていきました。太陽がギラギラと照りつける夏らしい日は、残念ながら今年はほとんど無かったですね・・・。

柚野の田んぼはまだ青々とし、昨年の今頃は稲刈りをしていたところも多かったはずですが、日照不足の影響はこうした米や様々な農作物にとっても影響を及ぼしており、食卓に乗る献立さえも良く考えなければ・・・といった状況です。
四季のある日本は、色々な人たちが季節による恩恵をたくさん受けているんだと、今年の夏は改めて考えさせられました。
富士錦も例外ではなく、秋にたわわに実るお米を原料としていますし、冬の寒さが来なければ酒造りができません。 また、岩手県に家がある富士錦の畑福杜氏は、夏はお米を生産しています。
冬は雪が積もり農業ができなくなるので、若い頃から酒造りの職人として家族のもとを離れ、汗をかいて技術を磨き、現在に至ったというわけです。
地球の温暖化問題やエネルギー問題もクローズアップされる機会が多くなってきましたが、ある意味では、人間が自然に対して行ってきたことに対し、守るべき人間が「考える」ではなく「実行」しなければならない時期に来たのかもしれません。
話は変わりますが、つい先日まで中国の北京で核開発を巡る六カ国協議が行われていました。
この協議での問題解決や目に見える進展はありませんでしたが、一日も早く問題の解決を望むと同時に、核やミサイルなど、互いの国を危機にさらすものに対する協議ではなく、各国のよりよい食糧事情にするため、あるいは気候不順を招く温暖化の防止等の協議になってもらうのを願ってやみません。

なぜって、核は人間が作ったものですが、自然は人間が作ったものではないからです。
今日もようやく晴れてきた空と、まだ青々とした田んぼを眺めながら、こんなふうに思うのでした。