蔵元便り 柚野の里から

2005年04月

杜氏さんやったね

 週末ごとに雪がちらついた今年の3月、三寒四温とはいえその温度差の激しさに体がびっくりしてしまいました。
今日は抜けるような青い空が広がる、光まぶしい晴天ですが、風はまだ冷たく、富士山も裾野まで雪を被っています。
ところで、3月といえば、卒業や転勤など節目の季節ですね。 皆様も慌ただしい時間をお過ごしのことと思います。
富士錦にとっても3月は毎年、緊張の年となります。
半年かけて醸した日本酒の仕込がほぼ終了し、ホッとするのも束の間、今度は鑑評会シーズンへと突入します。
そして、先月の11日静岡県清酒鑑評会が開催され、何と、純米の部で最高賞の「県知事賞」を頂戴いたしました。
お陰様で2年連続の栄誉です。
鑑評会の会場に詰めていた製造部の根本が、嬉しそうな笑顔と共に社長へ報告すると、事務所に歓声が沸き、それを聞いた専務は思わず蔵へ走り「杜氏さんやったね」と、杜氏と抱き合って喜びを分けあいました。
半年間の修行僧のような厳しい酒造りの結果が「県知事賞」という大きな評価を受け、本当にありがたいことだと実感しています。
そして、3月のもうひとつの柱が「蔵開き」です。
ご来場いただいた多くの皆様、本当にありがとうございました。
今年で9回目を数えるこのお祭も、今までで最高の人出となり、私ども富士錦も、柚野の里山と富士山の景観、そして日本酒の魅力を改めて再認識させられました。
お酒がとりもつ不思議な縁と、休憩所で飲み交わす知らないお隣までもがみんな友達になれる、そんな楽しい雰囲気はやはり日本酒の大きな魅力なのですね。
今年もこの蔵開きで皆様の笑顔とお会いできましたこと、本当に幸せなひとときでした。

翌日、誰もいない田んぼを歩くと、昨日のことはまるで夢のようでした。
また来年、蔵開きでお待ちしております。
本当にありがとうございました。