蔵元便り 柚野の里から

2005年06月

満員の店内

 「プリンセスミチコ」が、ポッテリとした可憐な花びらを開かせ、その隣にも色とりどりのバラが咲き誇る公園を歩けば、木漏れ日がまぶしい、まさに風薫る季節を感じます。
今年の恒例行事、富士錦の延べ2日間に渡る田植えも無事終了し、また、すべての鑑評会の結果も出揃いました。
今年、富士錦は日本酒の全国大会にて、お陰様で「銀賞」に入賞いたしました。
蔵元いわく、「今年の酒は香りもバランスもすごかったよなあ!! 畑福杜氏のってきたなぁ」とコメントさせたお酒は、全国の桧舞台でも結果を残せました。
ところで、今月は、もうひとつ嬉しいお話を頂戴しました。
東京・神楽坂にて魚料理の専門店を開店なさったお店より、日本酒に関しては、すべて富士錦をという光栄なご指名を頂いたのです。
先日、その華やかなプレオープンの席へ行って参りました。
満員の店内は、賑やかなのにしっとりとして、産地直送の新鮮な魚は、潮の香りさえ感じるほど。和風モダンの無垢のカウンターで、おいしいお刺身をいただきました。 そして、驚くこと、店内にいたすべての人が、富士錦を飲んでくださっていたのです。 しかも、「へえ、この酒うまいねえ。」なんて声が時折背中越しに聞こえてくるのです。
うれしくなって、どきどきしながら飲む酒は、やっぱり懐かしいウチの酒で、本当に蔵元冥利につきました。
星の数ほどある日本酒から、県外ではほとんど無名に近い富士錦を選んでいただいた幸運を思わずにはいられない至福の時でした。
例年、この時期は瓶詰作業もさほど忙しくはないのですが、今年は純米・純米吟醸・本醸造・普通酒とほとんどすべての酒の瓶詰を毎日行い、欠品を起こさないように懸命にスケジュール調整をしました。

詰め口直前の酒をきき酒する蔵元は、「今年は、どの酒もふくらみがあって、本当にいい酒だ・・・。よしっ!」と気持ちが入ります。
気持ちの良い夕暮れに、富士錦などいかがですか?