蔵元便り 柚野の里から

2006年04月

田んぼの土

 木蓮が白い花弁を空に向け、もうすぐ、つぼみが開きます。
今年に入っても、まだみぞれ交じりの雨が降り、厳しかったこの冬の名残のようです。
先日、3月19日に開催した富士錦「蔵開き」も、おかげさまで昨年を上回る大勢の人にお越しいただき、ありがとうございました。
事故もなく無事閉幕しましたことを、まずはご報告いたします。
当日、心配された雨も上がり、澄んだ空気の中、青い空の下で白く輝く富士山の綺麗だったこと。準備に追われながらも、富士山が目の端に写ると、「ああ、富士山が顔を出してくれた。」とホッとしました。
やはり、心の拠り所なのですね。そして、蔵開きで、富士山を見ながら田んぼで飲んでいただく、これがこの祭の最高のおもてなしだと、感じています。
今年の新作「富士錦・吟醸酒」蔵開きでもたくさんの人にお飲みいただきました。
専務がちょうど、田んぼの休憩所を通りかかったとき、「田んぼの土っていうのは、けっこうやわらかくてあったかいんだねぇ。」と、お客様に声をかけていただきました。
普段は、田んぼにじっくり座るなんてことはありませんよね。
「そうなんですよ」と答ながら、「今、飲んでいらっしゃる吟醸酒は、この田んぼで、私どもが大切に育てた米から造ったお酒なんです。」と申し上げました。
「ほう!」とびっくりなさっているお客様に一礼し、走りはじめながら、専務も色々な思いがこみ上げてきたそうです。

この田んぼで育てた米で、香り高い吟醸酒を造ろうと試行錯誤して、やっと、たどり着いたこの酒に、今ここでこんなにも多くの人に飲んでいただいている・・・。 何ともいえない感動が沸いてきたそうです。

帰り道を行く人は、皆一様に笑顔で、「ごちそうさん!お疲れサン!また来年!」の声をかけていただきました。
1回1回勉強し、よりよい祭としていきたいと存じます。
本当にありがとうございました。