蔵元便り 柚野の里から

2007年05月

人里


事務所の花壇に、白いこでまりが満開に咲いて風に揺れています。挿し木から手入れして育ててくれたスタッフが、「今年は、よく咲いたねェ。」と、楽しそう。その北側には、背丈ほどの菜の花が、今満開です。

そばを通ると、黄色い海に白いもんしろちょうがフワフワと泳ぎ、菜の花独自の甘い菜のにおいと一緒にこちらまで元気が満ちてくるから不思議です。
この冬に取材を受け、載せていただいた経済雑誌VEGA別冊「富士の恵をたどる旅MEGUMI」を、ゆっくりと読んでいると、こんな文章に出会いました。
芝川・・・芝川は「人里」と呼ぶのにふさわしい。玄関先に花を咲かせて、美しい木々を植えた家々が並び、石垣の残る田んぼが段々になっている。丁寧に生きる暮らしがここにある。・・・故郷の風景を、プロのライターの感覚によって、こんな風に切り取っていただくと、この里に素朴な優しさが響いていることを改めて知り、本当にうれしくなりました。
また、手前みそですが、「静岡ってところはほんとうに日本酒がうまいんだねえ」
・・・で始まる、当蔵のページは、半年間、酒造りに身を粉にして精進してくれた畑福杜氏への「めぐみの贈り物」になりました。
岩手に戻った杜氏は、「岩手は寒くて寒くて、静岡に戻りたい・・・」なんて明るく冗談を言ってました。

そして今年、初めて挑戦した、静岡生まれの酒米「誉富士」を使って醸した純米酒が、昨日瓶詰めされ待望のお披露目間近です。初めての酒米に、その特性を見極めるのに非常に気を遣いましたが、醸された純米酒は富士山の湧き水のようなやわらかな甘みを持った上質の酒となりました。
5月10日新発売です。どうぞ、お試し下さい。
ニュース モンドセレクション2007 金賞受賞