蔵元便り 柚野の里から

2008年12月

同期の桜

一気に加速してきた冬の寒さ。この寒さ大歓迎の酒のもろみ達がタンクの中でぷつぷつと元気に泡立ち、嬉しそうです。酒の神様がいるならば、きっとこの蔵にも応援団を連れてきたよと微笑んでいる事でしょう。

富士錦の酒造りの要となる杜氏は、今年も畑福馨です。畑福杜氏は、現在三大杜氏のひとつと言われる岩手の「南部杜氏」の伝統を受け継いでいます。
会長や社長が要求する富士錦の味を見事に具現化する技術には、毎年驚かされます。畑福杜氏が富士錦酒造で働くようになったのは十三年ほど前で、ちょうど現在の弊社社長が蔵に入った時期と重なります。

社長は、堂々「私と畑福杜氏は、同期の桜。お互い全くとらわれるものがなく真っ白な状態で出会い、そこから二人で様々な富士錦の酒造りの試行錯誤を共有することが出来た。辛いことも嬉しいことも、結果が出ない悔しさも一緒に体験した。この体験が私にとっては大きかった。
元来畑福杜氏が目指していた味の方向性と、富士錦の方向性がピタリと一致したことがわかった時は、何かこの出会いに、運命のような強いものを感じた。」と、話しています。

杜氏と共にやってくる蔵人達もにぎやかで活気のあるこの酒蔵が好きだと言ってくれ、この蔵人達と共に働く仕事は、辛いことも多いですが、学ぶことも多く、とても楽しいものです。
そして、本社のスタッフ達も、強い情熱を持っている者ばかりです。ここで働く人間全員が力を合わせ、手造りで育んでいく富士錦の味。最初の一口を確かめるときの緊張感と喜びは、何物にも変え難いものがあります。
その中から、最初に出荷する新酒達の鮮烈な味わいには、私たちの新鮮な喜びも加わっていると信じています。どうぞ、もうすぐ生まれる新酒達が、 皆様に至福の時をお届け出来ますように・・・。
今年初めての新酒誕生まであとわずか。緊張感溢れる蔵よりお届けしました。