蔵元便り 柚野の里から

2012年06月

上を向いて

今月22日に華やかに開業した世界一高い電波塔・東京スカイツリーは、世界からも注目を集め各国で「新たなランドマーク誕生」とその開業の様子が伝えれたそうだ。建設中から注目を浴び、又、建設現場の獅子奮迅の様子は特集番組や、テレビcmの舞台となって放映されていたので、多くの人が、子供の成長を見守る親の気分も味わったのではいだろうか…。


建設中におきた3・11も大過なく乗り越えたツリーのデザインには、ご存知の人も多いでしょうが、日本刀の「反り」と「起り(むくり)」、五重塔の「心柱(しんばしら)」など和の伝統が受け継がれている。

法隆寺五重塔を見て私達が感じる遥かな歴史と建立時の人々の熱気。そこには、 当時の建築技術の枠を集めて建てられた気概が感じられ、人々の希望と勇気が感じる事が出来る。あたかも、今は修学旅行シーズン。
あまたの小・中学生が、京都奈良を訪れ、この歴史を肌で感じていることだろう。そして、次世代の人々がこの東京スカイツリーを見て何と感じとるのか。
木造造りとは全く違う鉄骨の東京スカイツリーは、実は1本1本職人の手作業で溶接され「反り」や「起り」が取り入れられている。尚かつ法隆寺五重塔などに見られる「心柱」を参考にした耐震構造で、首都圏直下型地震が発生しても「損傷はほぼない」とされる。
現在の日本の建築技術の枠を集めて建てられたツリーに生きる和の伝統は、日本が、伝統に裏打ちされた確かさを持っている証左では無いだろうか?そこには、ものづくり日本人のDNAが流れている。
東京スカイツリーは、日本の確かな未来を映す希望の支柱、みんなで上を向きましょう。

伝統産業に身を置く私達も、時間に磨き込まれたこの酒造りの技術で、確かな未来を築いて行こう、と、改めて感じたこの五月。田植えも無事終わり、
今年も酒造好適米「誉富士」を植え、富士錦の米造りそして酒造りが始まっています。