蔵元便り 柚野の里から

2015年12月

早咲き桜

暖かい師走です。事務所と倉庫の間を走り回っていると、上着がなくても十分な暖かさです。そんな年末の気忙しさの中、ふと顔を上げると、河津桜が咲いていました。早咲きで有名なこの桜ですが、この地では、例年1月の終わりから2月の初めあたりにほころび始めます。

それが今年はてっぺん近くのピンクの蕾が2~3輪花開き、全体がピンクに明るく日が射しているようでした。お蔭で、気持ちがパッと明るくなりました。自然の木々からいただく力でしょうか、ホッとしました。そんな河津桜に驚かされて、周りの木々を見てみると、白木蓮の蕾も白く芽ぶいていました。今年は里の春も早そうです。
そんな中、蔵からは、「純米生原酒」「純米吟醸ヌーヴォー」と次々に新酒が搾りあがり、蔵内には清冽な緊張感が漲っています。

これらの新酒は、しぼったままの酒を、火入れ(加熱殺菌)せず、濾過もせず、割水もしないで、瓶に詰めた「すっぴんのお酒」です。
通常のレギュラー商品より、アルコール度数がやや高く、しぼりたてのフレッシュさと蔵内の味そのままをお届けすることを大切にした「旬の味」です。数量を限定して販売しております。
毎年一番最初に醸す酒「しぼりたて原酒」は、蔵内でも作り手の顔が見える酒と位置づけ、搾るときは、緊張感に溢れます。今年のこの酒、口に含むと舌の上でまず甘味を感じ次に辛味が舌を刺激し、すっとキレよく抜けていく、ここ数年で一番の出来でした。
今年一年、皆さまにご愛読いただき本当にありがとうございました。行く年くる年を、おいしい日本酒と共にすごしていただこうと、現在、蔵人・社員一丸となって、心を込めて出荷しております。
どうぞ、良いお年をお迎えください。来年も、どうぞよろしくお願いします。