蔵元便り 柚野の里から

2016年02月

三余

 菜の花の黄色い花に注ぐ陽射しが急に眩しくなり、春の足音が聞こえてきました。
巷では、入学試験のシーズンも佳境を迎え、受験前の最後のひと踏ん張りに頑張っている人も多いと思います。
希望を胸に緊張感に負けず試験に臨んで下さい。心より応援しています。
ところで、冬は、四季の中でも残りの季節といいます。 農耕社会の生活習慣と関連してそういわれたそうです。春に穀物の種をまき、夏に育て、秋に取り入れる。
冬はそのサイクルが終わった後の農閑期で、しばし農作業から解放される「残りの時間」。
昔、中国では「三余(三つの余り)を利用しなさい」と教えたといいます。
「三余」とは、歳(とし)の余りである冬、一日の余りである夜、時節のあまりである雨の日。
これらの時間こそ、勉学にも修行にも、絶好の時間だと説いたそうです。
いくら暮らしに追われていても、「三余」こそ修行・勉強に励む絶好のチャンスだと。

ところで、酒造りは「三余」どころか、 気温が低く、寒の水は腐らない為に年間の最も過酷な寒い季節に行われてきました。
現在でも、その仕事ぶりは、正に修行僧のようです。
富士錦の蔵人達の「造った酒は必ず花を咲かせてみせる」と誇りをかけて日々酒造りに励む姿は、受験生のストイックさにも似ています。
もうすぐ、春。桜咲く季節がやってきます。
こんな富士錦が醸した今年の酒がどんな酒になったか、気になりませんか?
3月20日には、今年も柚野の里の一大イベント、柚野村おこし「蔵開き」を、開催します。
お蔭さまは今年は晴れて20回目を迎えます。
この機会にぜひ、柚野の里へ遊びにいらしてください。心よりお待ちしております。