蔵元便り 柚野の里から

2016年04月

火入れ

熊本地震が発生してから早十日が経ちました。 震源が移動しながら大きな余震が続く、誰も経験したことのない事態に、 日増しにその影響が大きくなって本当に心配ですね。 皆さんと同じだと思いますが、日々流れる被災の様子を、自社だったらどう対応するか自分だったらどうするか、 と我が事に置き換えて、家族で話しています。 一日も早い地震活動の終息と復興を心からお祈り申し上げます。
蔵では、杜氏達の酒造りの仕上げに、「火入れ」といって、 タンクに出来たばかりの生のお酒に火入れをまとめてする仕事があります。 一週間位続く仕事ですが、ゴーという湯を沸かす唸るような音が、 蔵から聞こえてくると酒造りも最後だなと思います。 お陰様でその「火入れ」も終わり、昨日23日に今期の日本酒の仕込みが全て無事終了しました。

今年は、昨年より十日長いボリュームのある酒造りとなりましたが、 笑顔の皆造を迎える事が出来ました。 秋より半年間、蔵に住み集団生活を続けながら酒を醸し続けた蔵人達の表情は底抜けに明るく、 故郷へ戻っていきました。その表情から酒に込めた深い情熱と心意気が伝わってきました。
半年間酒を造り続ける彼らの苦労が、静岡県清酒鑑評会第一席で報われた今年の酒造り。 その要因は杜氏のその明るい笑い声が、チームに活気をもたらし、折に触れ蔵人たちにかける言葉が、 迷いなく説得力を持って正しい道に導いた結果だと感じています。
人は鏡なり、自分の持っている空気が、周りに波及しそれが鏡のように自分に映し出される、といいます。 自分の行動に責任を持ち、周りに良い影響を及ぼせる人になれるよう、 行動することがいかに大切かを感じた半年間でもありました。